「ビリー・ザ・ベスト 1&2/ビリー・ジョエル」 85年 評価4.5
ビリー初めてのベストアルバムで、ヒット曲の多さから2枚組になるのは当然。また、年代順に曲が配列されている(いろいろな盤があり、何度か曲が追加、変更されているが、もともとは年代順)ので、ビリーの成長と限界が垣間見えて興味深い。
シングルヒットも多いビリーだから評価点は高くなるが、『イノセント・マン』以降からの曲にそれまでの魅力がなくなっているのは明らか。それまではいかに彼の曲作りが素晴らしく、また本来の持ち味(シンプルな瑞々しさ、ニューヨークを感じさせる独特の雰囲気など)を生かしきっていたかがよくわかる。素晴らしいヒット曲の数々だ。
新曲が2曲追加されているが、これが全くよくない。分厚いサウンドとボーカルにより本来の持ち味がなくなっている。大物になりすぎたビリーはその後分厚いサウンド、尊敬するレイ・チャールズを意識したボーカルなど、持ち味を見失ってしまい、このあと発表された3枚のスタジオアルバムまでは総て持っていたのだが、その後消去。正直なところ、このベスト盤まで持っていればビリーを堪能できる。